基板切断の基本は刃による切断でありますので、可能な限り機械的な衝撃や弾性ひずみ波を押さえるカット方式で、カットすることが重要です。上刃と下刃が交差状態で、基板をカットするとはさみで切るようなひねりとねじれが起きてしまい、部品にストレスを与えてしまいます。コンデンサにかかる衝撃を極力加えないように基板をカットするために、当社の製品が有効です。
本機における基板分割の3つの特長
- 低ストレスで基板を分割
- モーターレスにより環境にやさしく低コスト
- 安全対策も万全を期しており安心して使用可能
上下の刃を交差させるハサミの原理を用いれば、基板を切断するのは簡単です。しかし、ストレスが生じて実装部品を破壊することになり兼ねません。
当社の製品では、極力ストレスを回避するために、上刃と下刃を交差させないことに重点を置いています。
クラックの発生原因について
チップ積層セラミックコンデンサなどの近年の基板は、素材もV溝の形状も多様化しており、また部品も鉛フリーで脆くなっています。基板実装後の機械的ストレスとして基板がたわんだ場合に、下記のようなクラックが生じます。
手割り | 両支点間で曲がってしまいクラックが入る。 |
冶具 | 固定側と支点の間にクラックが入る。 |
基板のたわみ(他の挿入部品の取り付け、基板分割)
基板ブレイク等で基板がたわんだ場合、図のようなクラックが生じます。クラックははんだの盛り量が多いほど生じやすいです。
実装基板スプリッター
実装基板スプリッターのリニアスライス方式は、基板を下側直線刃で固定するので、刃先の横揺れなく安定し、刃の高精度で上下刃の交差なく少ない力できれいな断面のカットができます。
安定切断の理由は、ローラー刃の浅い角度で自転し、進行前後に繊維を少しずつ圧切します。そのため、横方向にストレスが広がりにくい方式で、円周が大きいほどに抵抗が軽くなります。実装基板スプリッターは、下刃で基板全体を支えるため、中抜き基盤でも基板から刃が逸れる心配がありません。
基板とテーブルの距離とV溝仕様について
基板の分割には、[クラックの発生原因について]でもご紹介したように、最終基板分割に至るまでに様々なストレスの要因があります。
手割りや工具からストレスをより軽減することを目的とし、基板分割機の精度を上げてきましたが、基板の材質の変化や部品の高密度化の流れの中、分割機と刃の精度はもちろん、基板のV溝仕様も重要な要因であると感じています。シンプルなカット方式でかつ冶具などで基板をおさえつけないことなど機械の精度、V溝の精度で部品にかかるストレスは軽減できます。
カット時の注意点
基板の左右バランスを取ることが、もっとも需要なポイントです。基板に余分な力を加えないために、基板を右テーブルに置かず軽く右指で支えます。
基板とテーブルの距離は支えやすい状態が良いです。